月夜に笑った悪魔 (番外編)
……あぁ、もう。
どんなやり方であれ無事に接触できたし、こうなったらもうやるしかない……!
なんとか会場の外まで連れて行こう……!
「ほ、本当にすみません……!」
「お怪我はありませんか?」
私は謝るが、男性は私の心配をしてくれる。
……いい人かもしれない。と、つい思ってしまうが、この人が危険人物の可能性があるんだ。
忘れちゃいけない。
「私はぜんぜん大丈夫なんですけど、あの、シャツが……」
「大丈夫ですよ、着替えがありますので」
「クリーニング代出します……!出させてください……!」
「心配しないでください。本当に大丈夫ですから」
「いや、でも……!せめてそのシャツ貸していただけませんか!?放っておいたらシミになってとれなくなってしまうので、染み抜きだけでもさせてください……!」
男性の袖をつかんで、申しわけなさそうな表情で見つめた。