月夜に笑った悪魔 (番外編)
耳を疑ってしまうような言葉。
岳を見上げ、私の体は石になったかのように動かなくなる。
「どれだけ一条組に奪われたと思ってる。
……一条組のせいで追い込まれたお袋はもう帰ってこない。そのうえ組長まであいつらに洗脳され、月城組は崩壊寸前。
許せるわけねぇだろうが!!」
吐き捨てられる怒り。
岳の纏うオーラが変わった。
溢れ出ている殺気。
私に目を向けられると、恐怖で息さえできなくなる。
今すぐに殺されてしまうんじゃないかと思うような危機感。
震え出す体。
……まるで岳に初めて会った時、みたいだった。
あの時も、こんなに冷たい目をして恐ろしいオーラを纏っていた。