月夜に笑った悪魔 (番外編)
あははは!、大きく響く笑い声。
茶髪の男性が笑い、その後ろの男たちも笑う。
私はただ見ていることしかできない。
「月城岳……──若頭、あんたが変わってなくてよかったです。
俺たちに、あいつらの血で染まった最高の景色を見せてください。俺たちは若頭について行きますから」
息をついたあと、声を出す茶髪の男性。
岳はその言葉に「あぁ」、と返事。
……そんな。
岳が、元月城組となんて……。
「でも……申しわけありませんが、正直まだ完全には若頭のことを信用できていません」
茶髪の男性がこっちまで歩いてくると、視線が岳から私に向けられて。
「一条組のそのオンナ、今ここで殺してくれませんか。
その血で染まった姿を見たら、俺たちは完全に若頭を信じてついて行くことができます」
ポケットから折りたたみ式のナイフが出され、岳へと差し出された。