月夜に笑った悪魔 (番外編)
感じる身の危険。
岳のこの目、纏うオーラ……本当に私を殺してしまいそう。
「……俺は一条の目の前でこのオンナを殺してぇ、って前から言ってるだろうが。
一条暁の前でこのオンナを痛めつけ、殺し……絶望する顔を見てから、一条も殺す」
「俺たちは今すぐに見たいんです。若頭を完全に信用するために……半殺し程度でもいいんで、やっちゃってください」
差し出されたままのナイフ。
そのナイフに岳の手は伸びて……それを受け取った。
ドクリ、と心臓が嫌な音を立てて動く。
……いや、ちがう。
また疑ったり、怖がったりしちゃだめだ。
私は岳を信じるって決めてこの会場内に来たじゃないか。
信じなきゃ……。
私が岳を信じなきゃ。