月夜に笑った悪魔 (番外編)
「岳……ぜんぶ嘘、だよね?」
せいいっぱい声を震わせた。
……でも、ダメ。
自分の演技が下手すぎていつバレてしまうかわからない。
「この状況でもまだ俺のこと仲間だとか思ってんのかぁ?どんだけバカなんだよ」
かえってくる返事。
彼の口角はさらに上がり、
「安心しろよ、オンナ。おまえは一条の前で殺すから、まだ殺さねぇ」
つかまれていた手がやっと離れ、そのあいた手はジャケットの内側に入れられ。
取り出したのは──拳銃。
「が、岳……」
「俺の許可なく口を開くな。今すぐ殺したくなってドタマぶち抜いちまうだろうが」
「……っ」
「大人しくしてろ」
合わせることになにをするのが1番の正解かわからない。
でも、このままここにいたら私の演技が下手でバレるのは時間の問題で……。
私は持っていたショルダーバッグを岳に投げつけ、全力疾走。