月夜に笑った悪魔 (番外編)


やっぱり、これは岳の作戦。
岳は裏切ったりなんかしてない。

ぜんぶ、演技だ。


走って離れたし、私の上に岳が跨っているから元月城組の人たちには私たちがなにをしてるのかはちゃんと見えてない。


あっちには岳が私の首を絞めて苦しめてるように見えてるだろう。


岳はいろいろ考えて動いてる。




「……殺すのはまだだった、な。お前には一条を苦しめる道具になってもらわねぇと」


苦しそうに咳をする私を見て、岳はやっと口から銃口を離す。
首をつかまれていた手も同時に離れた。




何度も何度も咳をすれば、少しずつ落ちついてくる。
そして落ちついた頃に口を開こうとすれば……


「俺の許可なく口を開くなって言っただろうが。ちょっとでも動いたらその手足今すぐもぎ取ってやるからな」


低い声に遮られた。


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