キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
「サオ……!」
私を見て反射的に手を離した果穂は、気まずい顔をした。
「なんで?」って聞きたかった。
……でも、聞けなかった。
私は、笑顔を作って2人の前を通り過ぎることしかできなかった。
「サオ!」
呼び止められて振り向くと、果穂が追いかけて来ていて。
「ごめん」と今にも泣きそうな顔で謝ってきた。
「付き合ってるの……?」
「うん……。辻堂くんに告白されて……サオに言えなかったけど、私もずっと辻堂くんのことが好きだったの……」
“ずっと好きだった”
そう言われて、私はすべての言葉を呑み込んだ。
果穂は友達想いだから、きっと言い辛かったのだろう。
好きなことも、告白されたことも……。
だけど、付き合ったなら言ってほしかった。
まるで隠れるみたいに付き合って……。
同情されているみたいで惨め。