キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
「サリーちゃん?」
不意に声をかけられて我に返ると、日南先輩が私の顔を覗き込むように見ていた。
派手な人なのに、目の前に現れるまで気づかなかった。
「ビックリした……!」
「そんなに驚く?野球部を見て、ぼーっとしてたけど」
「ちょっと考え事をしてまして……。日南先輩はどうしてここに?」
「ジャンケンで負けてパシリ中。これから屋上に行くけど、サリーちゃんも一緒に行く?」
日南先輩は、両手で5本のペットボトルを持っていた。
珍しい……。日南先輩、ジャンケン強いのに。
「はい」と答えて、日南先輩と一緒に屋上へ行くことにした。
逃げた先に日南先輩がいた。
嫌なことが重なったけど、その先に待っていたのは楽しい毎日。
……時には、逃げることで見えてくる世界もある。