キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
最初に口を開いたのは、桐生先輩。
「サリー……好きな奴いたの?」
「好きじゃないです……!気になっていただけで」
「それ、いつの話?」
「えーっと……日南先輩と初めて話した日です」
答えながら日南先輩を見ると、磁石が反発するように顔を逸らされた。
あからさまな態度。
……ちょっとショック。
「サリーは、そいつのことまだ気になってるの?」
「あ、いえ……気になってはない、です……」
気になっていないのは本当。
辻堂くんのことはもう平気。
だけど、答えに詰まってしまったのは、まだ果穂に対してのモヤモヤが残っているから。
「サリー……元気だせ。失恋には新しい恋だ──な、日南」
……だから失恋じゃないんだけど。
まぁ、「恋の予定が失われた」と思えば同じか。
光石先輩から話を振られた日南先輩は引きつった笑顔で、
「う、うん……そうだな……」
と答えた。