キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜

***


ある日の休み時間。


「日南、来い!」


同じクラスの桐生と話していたら、みっつとあおやんが教室に入って来て、呼ばれた。


連れて行かれたのは、ベランダ。


見下ろすと、体育ジャージ姿の1年諸君がぞろぞろと校庭に出ている。……ざっと2クラス分。

きっとこれから体育の授業なのだろう。


その中に、サリーちゃんの姿があった。

ジャージのチャックを目一杯閉めて、寒そうにしながら友達と話している。


「そっちじゃない……あっち!」


サリーちゃんに向いていた視線を無理やり変えられたかと思えば、みっつが指す先にいたのは知らない男子だった。

いくつかグループを作っている中で、一際大きなグループの中心にいる男子。


「あれが、サリーが気になってる奴──辻堂」

「──っ!?」


どうやら、あいつがサリーちゃんの話していた奴らしい。

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