キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
駅前に着いて、ファストフード店が視界に入った──そんな時。
「あれ光石じゃね?」
マスクを下げたまま歩いていた光石先輩が、足を止めた。
「マジだ」
「おーい、光石」
知らない学校の制服を着る4人の男女が、こちらに近づいて来る。
……光石先輩の知り合いかな?
「なに、お前。中学の時と全然違うじゃん」
嫌にニヤついた顔をする彼ら。
ふと視線を移せば、眉を顰めて下唇を噛む光石先輩の姿が目に入った。
たぶん、知り合い。
──だけど、会って嬉しい知り合いじゃないのは、一目瞭然だった。
続く言葉で確信する。
「高校デビューってやつ?」
「だせぇ」
同調するように広がる──嘲笑。