キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
気のせい
店内は学生を中心に溢れていて、満席。
そんな中でも、さすが問題児集団──本当に目立つ。
もっと人が多いところでも、この先輩たちならすぐに見つけられそう。
「おまたせー」
「遅かったな」
「ちょっとトラブって」
日南先輩の隣に座って──ふと。
感じるのは、いくつもの視線。
隣の席を見ると、3人組の女子と目が合った。
他にも、向かいの席の男女グループ。
カウンター席に座るカップル。
あらゆる方面から視線がチラチラとこちらを向く。
やっぱり目立つな……って、改めて思い知る。
日南先輩たちは気にせずいつも通り話しているけど、私は周囲の視線に落ち着かない。
「撫高の日南だ」
「やっぱり派手だね」
「美男美女揃い」
「でも誰だろ……あの子。初めて見るね」
そんな会話が聞こえてくる。
あの子って私のことだよね。
すいません……場違いで。