キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
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「それで、髪飾りを作ることになりまして……」
「そうなんだ!良かったね」
「はい!」
しばらくの間、屋上に来れないことを日南先輩に報告しに来た。
柴戸先輩とは、昼休みの短い時間を使って一緒に作る約束をした。
日南先輩に会える機会が減るのは寂しいけれど、柴戸先輩に必要とされて嬉しい気持ちが勝っている。
「ところで、桐生先輩は何を……」
屋上にいるのは、日南先輩と桐生先輩だけ。
桐生先輩は、イヤホンを繋げて横向きにしたスマホで何かを視聴している。
「あいつ今、機嫌悪いの」
「どうしてですか?」
いつも通り、退屈そうとしか思えないけど。
「彼女が相手してくれないって……どこぞの誰かに取られて、すげぇ不機嫌」
へぇ。桐生先輩って彼女いるんだ。
そういや、桐生先輩だけ心のノートをまだ作っていない。
桐生先輩は、金髪で高身長。
端正な顔立ちで、近くで見ると肌がすごく綺麗。
常にアンニュイな雰囲気を醸し出している。
後は、日南先輩と同じクラスってことしか知らない。
……でも、彼女がいるという情報が追加された。