キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
日南先輩は誰よりもまっすぐな人。
両親の離婚や先輩の陰口、果穂のことで落ち込んでいた私を気にかけてくれた。その優しさに裏なんてないよ。
果穂は悪気があって言っているわけじゃない。
友達想いの果穂は、私を心配しているだけ。
でも、日南先輩のことを何も知らないのに悪い風に言ってほしくない。
私の反論にビックリする果穂。
「サオ……日南先輩のことが好きなの?」
眉間にしわを寄せながら訊いてきた。
「そういうわけじゃないけど……」
好きとかそういう話をしているのではなくて。
いくら口で言ったって、日南先輩に対する印象が変わるわけじゃない。だからって、黙っているわけにもいかない。
日南先輩は私にとって大切な人だから……。
そんな私に届いたのは──あまりにも厳しい現実だった。
「日南先輩の周りには可愛い女子がいっぱいいるし、日南先輩には日南先輩に合った人がいて……サオには、サオのことだけを考えてくれる真面目な人がいいと思う」
その言葉には反論できなかった。
下唇を噛んで、現実を受け止める。