キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
手すりの隙間から下を覗くと、金髪と青髪と赤髪の派手な男子たちが誰かを探し回っているようだった。
3人並ぶと信号機みたい。
誰か──『日南』と言っていたから、探しているのはたぶん、ピンク髪の日南先輩。
そういえば、さっきもいなかった。
「もういいよ。先帰ろうぜ」
「ライン入れときゃいいだろ」
探すのに飽きて、彼らは校舎の表の方へと歩いて行った。
「あんなに目立つ人でも……行方不明になるんだ」
彼に言ったわけではない。ただの独り言。
それでも、彼から反応があった。
「サリーちゃんも、日南って奴知ってるの?」
「そりゃもちろん。有名ですから。たぶん、この学校で知らない人はいないんじゃないですか?」
「ははっ。やっぱりうるさいから?」
「んー、いつも笑顔だから……じゃないですか?遠くからしか見たことないですけど、明るくて楽しそうで、桜みたいな人だからみんな見ちゃうんだと思います」
「桜、か」
太陽よりは、桜の方が髪色的に合っている。
全然知らないんだけどね、日南先輩のこと。
明るくて桜みたいな人、だとは思うけど……ピンクの髪色がちょっと怖い。