キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
な、なんで……私……。
日南先輩に抱き締められているの……!?
どうしてそんな、大切なものを扱うように、優しく包み込むの……?
ダメ。私、日南先輩に触れられるの、ダメ。
ドキドキして……心臓が壊れそう。
離れないとこれ以上持たないよ。
……なのに。どうして。力が入らない。
日南先輩は、一度だけぎゅっと力を入れた。
離さないって言われているみたいで、胸がきゅんと鳴る。
うぅ……こんなの意識するなって方が無理だよ。
力が入らないどころか、抜けそう──そんな時。
「俺を好きになって」
日南先輩の甘い誘惑が耳を撫でた。
ゾクッと電撃が走るような感覚に襲われる。
時間にしてみれば僅かだった。
みんなの喚声が響き渡る最中の出来事。
一瞬だったのに……限界まで心を揺さぶられたせいか、数多の時を越えた気分。