キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
ワッと声が上がった。
一瞬で空気が変わる。
雑踏。無法地帯。不揃い。無秩序。
そんな状況をひっくり返し、すべての視線を奪う──彼らが現れた。
赤髪の深見先輩。
金髪の桐生先輩。
青髪の青柳先輩。
黒マスクの光石先輩。
そして、中心にいるのがピンク髪の日南先輩。
……やっぱり私の心臓は壊れちゃったみたい。
日南先輩の姿を見るだけでドキドキする。
「サオ!挨拶して来なよ!」
「えぇ!?無理だよ……!」
愛良に背中を押されるけど……無理。
視線が集まるのは耐えられても、集まる視線の中に自ら飛び込む勇気はまだない。
それに今は、日南先輩を前にして平常心でいられる自信が……。
「あっ」と愛良が声を漏らした。
途端に目を見開いて、焦り出す。
「ど、どうしよう……!来た……き、来たよ!」
来たって……まさか。