キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
好きの正体
日南先輩との噂は、1週間という時間を費やして落ち着き始めていた。
視線を感じなくなったし、私の前でわざとらしく日南先輩の名前を出されることもなくなった。平和平和。
まぁ、たまに「日南先輩とどうなったの?」と訊かれることはあるけど……。
変わったことと言えば───
「おはよう」
「星野くん。おはよう」
星野くんが登校して来て、挨拶を交わす。
教室に入って交わした挨拶はこれだけ。
先生が来るまで、授業の準備でもしていようかな。
1週間……大きな変化というわけではないけれど、私はクラスでちょっと浮いた存在になった。
顔を合わせれば挨拶はするし、話しかければ普通に会話が弾む。
だけど、必要以上に話しかけられなくなった。
あの日南先輩に告白された。
それが普通ではないと思われているみたいで、扱いにくい雰囲気を醸し出されている。
ただ1人を除いては……だけど。