キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜

もし好きの種類が１つだったなら、日南先輩にその感情を抱いた時点で気づいていた。


でも、好きにもいくつか種類があるから。

友達や家族に対しても好きはあって、それを上手く仕分けできるほどはっきりした境界線があるわけじゃない。

だからわからなくなる。


日南先輩への好きは、好意的なものだと勝手に振り分けて、恋愛感情じゃないと否定した。



────違った。


私が日南先輩に抱いている感情は、他の誰にも抱かないものだった。


花森先輩と日南先輩が付き合っていたと知った時、私の中に黒い感情が生まれた。


知り合う前に聞いていたらなんとも思わなかった話でも、今は「嘘であってほしい」と耳を塞いでしまいたくなる。


過去のことは変えられない。

それでも、嫌だって思った。


すべてなかったことにして、最初から私だけを好きでいてほしい。


破綻した黒い感情──嫉妬。


花森先輩は嫉妬しなかったって言ってたけど、私は２人が付き合っていたって聞いただけで嫉妬した。