キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
諦めて、視線をまっすぐ戻した時。
目の前を凛とした雰囲気の女の子が通った。
黒色のポニーテールを左右に揺らし、切り揃えられた前髪の下には大きな瞳。
こちらに見せる横顔が綺麗で、思わず見惚れてしまった。
「香月さんもサオリだね」
彼女が通り過ぎた後、友達が言った。
「香月じゃなくて坂下さんな」
「あ、そうだった」
みんなの間で通じる香月サオリさん。
「有名なの?」
「最近な。両親が離婚したとかで、2学期に入って苗字が香月から坂下に変わって、ちょっとした有名人」
「……学年は?」
「1年」
────見つけた。