キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
恐れられているのは知っている。
4階の廊下は、3階以上に様々な視線を感じるから。
好奇な目、驚きの目、怯えの目、迷惑そうな目つき。
2、3年生とこうも大きく印象が異なるのは、単に先輩だからってだけじゃない。
1年生にとって俺は、入学したその時から「派手な問題児」。
そういう第一印象って、なかなか変わらない。
どう思われようと気にならなかったから、俺は別にいいんだけど……。
そんな俺に好かれただけで、サリーちゃんも関わり辛くなるのが理解できない。
サリーちゃんに関わったら、俺に何かされるとでも思ってんの?
傷つくようなことがあれば黙ってねぇけど……サリーちゃんの生活を壊すようなことはしない。
「まぁ、あまり気にしなくていいと思う。当の本人が気にしてないみたいだから」
しのの言葉が気休めにしか聞こえなかった。
もうすぐ授業が始まる。最後にもう一度だけ教室に視線をやってから、立ち去った。
結局、サリーちゃんは顔を上げなかった。