キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
サリーちゃんの名前にいちいち反応して足を止めたりしなければ良かったんだ。
そうすれば──
「日南先輩に好かれるってことは、坂下さんも何かしらあるんじゃない?」
こんな本音を聞かずに済んだのに。
俺から漏れたのは──薄ら笑い。
なるほどね。
そういうことか……。
ようやく理解した。
目立つのは、良いことが多いけれど、悪いこともある。
俺のことをよく知りもしない他人から、嫌な噂を立てられたり悪意を向けられたりすることが、昔からあった。
そういうのは無視。気にしない。
そうやって聞き流してきた。
知らなかった。
俺に向けられるそれらが、俺のせいで大切な人にも向けられてしまうことを。
悪意ほどはっきりしたものでなくても……ちょっとした印象の悪さが、周囲に影響を及ぼす。
目立つっていうのは、それだけ影響力があるということ。