キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
深いため息を吐きながら、俺は頭を抱えた。
「俺、マジで一瞬、しのを嫌いになりかけたわ」
「それでも俺はいいけど」
……いや、良くねぇだろ。
顔を上げて視界に捉えたしのは、どうでも良さそうな顔をしていた。
こういうところは本当にさっぱりしてる。
「サリーちゃん、どこにいるかな……」
天を仰ぎながら、ふと浮かんだのは、サリーちゃんの顔。
会いたいって、今ほど思ったことはない。
そんな俺の呟きに答える声は、別方向から聞こえた。
「坂下なら4階にいたぞ」
反射的に振り返ると、後ろのドアから顔を覗かせる石橋がいた。
すっかり忘れてたけど、そういや個人面談するんだっけ……。
「ありがとう、せんせー。俺、行ってくるわ」
「え?……あ、おい!」
でもごめんね、先生。
今は、自分の進路よりサリーちゃんを優先させて。
立ち上がった俺は、教室を飛び出した。