キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
……今の、日南先輩が言ったの?
呆気に取られる私は彼から目が離せなくて……そんな私に、先輩が笑顔を向けた。
うそ……でしょ。
今の言葉──階段の人と同じ。
声は……わからない。確かに似ている気もするし、ちょっと違う気もする。
たまたま……?
「日南、勝手なことするな。決めポーズ取ったらすぐ戻る!」
先輩の怒鳴り声がして、私から視線を外した日南先輩は笑顔で花道を戻って行った。
「サオ、ストップウォッチ!」
「え?……あ、そっか」
ストップウォッチを止めるのも忘れるくらい、日南先輩の言葉と声を何度も思い返していた。