キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜

みんなが広間に集まって来る中、俺は逆走しながら電話をかける。

数回の呼び出し音の後──サリーちゃんの声が聞こえた。


『は、はい……！』

「サリーちゃん！？ごめん！」

『え……？いえ、私の方こそ、ごめんなさい』


声を聞いただけで安心感に包まれる。

良かった、やっと繋がった。


『昨日、スマホの電源を落としたまま寝ちゃって……そのまま家に置き忘れてしまって……』

「そうだったんだ。……なんで電源落としたの？」

『……っ』


意地悪な聞き方をしてしまった。


しのに聞いて家に置き忘れたのは知っていたけど、電源まで落としていたなんて知らなかった。

なんとなく想像はつく。


『……女子の声が聞こえて、嫌だって思ったから……』


消えそうな声が愛しい。

俺のことで嫉妬してくれるサリーちゃんを今すぐ抱き締めたい。


この距離がもどかしい。