キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
日南先輩は、あっという間に3階まで上り詰めた。
「ごめん。探してみなって言ったのに、早く見つけてほしくて耐えられなかった」
向かい合う日南先輩は、やっぱり遠い世界の人。
近くで見たら本当にチカチカするピンク色の髪。鼻筋が通っていて、色白。目は大きくて、唇は緩やかな曲線を描く。
骨格はしっかりしているのに、パーツが柔らかくて……大人っぽいのか子供っぽいのかわからない。
私の周りにはいないタイプ。
でも……。
やっぱりこの人なんだ。
辛い時に明るく照らしてくれた階段の彼は、やっぱり日南先輩だった。
ずっと張った声ばかり聞いていたから確信が持てなかったけど……落ち着いたところで聞く、私だけに向けられた日南先輩の声は、階段の人と全く一緒だった。
「あの……どうして、私のこと……」
目を合わせられなくて俯いてしまうけれど、震える手をぎゅっと握り締めて、口を開く。