キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
会議室は現在、ファッション部の控え室となっている。
「ありがとうございます……!」
「いいえー。じゃあね」
モデルの日南先輩たちは、これから空き教室で衣装に着替えて、その後会議室でヘアメイク予定。
一旦、日南先輩たちとはお別れ。
ダンボールを返してもらい、ホッと息を吐く。
「サオ、日南先輩と知り合いなの?」
今の光景を見ていたのか、ファッション部の友達に訊かれた。
「ううん……。荷物を持ってもらっただけ」
「そうなんだー。見た目怖いけど、優しいところもあるんだね」
「うん、そうだね……」
日南先輩たちの評価は、学年で異なる。
3年生は日南先輩たちを「カッコイイ」とアイドル扱いし、2年生は「カッコイイけど問題児」と言っている。
けど、私たち1年生の共通認識は「怖い」──カッコイイと怖いが混在している。
怖いと感じるのは、何も私だけじゃない。
……だけど、どうなんだろう。
優しいところもある……のかな?
日南先輩のことを考えると、大きな謎にぶつかったみたいになる。
私は、日南先輩を頭から振り払って、仕事に没頭した。