キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
────っ!?
動揺して手すりから離れた。
男子らしきその声は、下の階からした。
「あ、ごめん。盗み聞くつもりはなかった」
独り言を聞かれるなんて恥ずかしすぎる。
しかも、なんかカッコつけたようなそれっぽいことを言った。
普通の独り言──たとえば、写真を撮って「可愛い」とか、ご飯を食べて「美味しい」とか──ならまだ良かった。
『嫌なことって重なるんだね』ってなに!?
ポエマーですか?ドラマの住人ですか?
鼻唄を聞かれるくらい恥ずかしいです……。
急速に恥じらいに蝕まれる中。
一方で、どうしてか好奇心が疼き始めた。
……誰だろう?
声から男子なのはわかるけど、わりと高めのよく通る声。明るさと甘さを兼ね備えているような。
だけど、男性らしい低さもある。