キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
知りたい ~side 日南~
ファッションショー用の衣装に着替えた俺たち。
廊下は人通りが多くて目立つから、とベランダを通って会議室へ行くよう言われた。
その途中────
「日南って坂下さんのことどう思ってるの?」
あおやんから訊かれた。
“あおやん”──は俺が青柳につけたあだ名。
青柳は元々グレーアッシュの髪色だったけど、名前に“青”が入っているから俺が青髪にさせた。名前と髪色が同じ俺の仲間。
「ん?なんで?」
「日南が特定の女子を『推し』って言うの珍しいと思って……つーか、初めて聞いた」
そういえば、みんなにサリーちゃんを紹介した時、そんなこと言ったっけ。
よくよく考えたら、“推し”って曖昧な言葉だよな。
その子のことを特別に想っているのはわかるけど、それがどう特別なのかは伝わらない。
────俺は、サリーちゃんのこと。