キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
「日南先輩のアイコン……飼い猫ですか?」
自由に設定できるプロフィール画像。
友だち登録すると最初に目が行きがちなところ。
日南先輩のは、茶色の縞模様の猫を正面から撮影した写真だった。
ちょっと意外。
日南先輩みたいな人は自分の写真を使っていると思っていたから。
「俺のばあちゃん家の猫。適当に選んだけど、なんだかんだお気に入りでずっと使ってる。……サリーちゃんの可愛い。自分で描いたの?」
「いえ、お母さんがイラストレーターなので」
「そうなの?すげぇ」
私のプロフィール画像は、ゆるふわなキツネのイラスト。
「お母さん、描いて!」とお願いしたら、宣伝のためにも力を入れて描かなくちゃ──と意気込んで描いてくれたっけ。
みんな「可愛い」と言ってくれる。
高校入学してわりとすぐ名前を覚えてもらえたのは、これのおかげかもしれない。
──と今さらながら納得する。