キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
青柳先輩からゴミ箱を受け取って、中身を捨てながら分別チェック。
イケメンの前でゴミを漁るのはちょっと恥ずかしい……。
意外にも(って言ったら失礼だけど……)きっちり分別されていたので、すぐ終わった。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
「んー。じゃねー」
ひらひらと手を振って踵を返そうとする青柳先輩。
しかし、私の隣にいた当番の子を見て、足を止めた。
「あれ。お前、見たことある」
そう言って指を差す先には、同じクラスの星野くん。黒髪のクールな男の子で、美化委員仲間。
青柳先輩に声をかけられて、ぺこり頭を下げる星野くん。
「星野です」
「星野……?」
名前を聞いてもピンと来ていない様子。
だけど、星野くんがため息を吐きながら
「……“しの”です」と言うのを聞いて、ようやく思い出したみたい。
「しのか。あー、理解理解」
それだけ言って、特に用もなく青柳先輩は戻って行った。