ちょうどいいので結婚します
「サウナでな」
「サウナ……」
功至は一体どこで何の話をしてるんだよと思ったが、勇太郎が話すのを黙って聞いていた。
「お前には独立前に所帯を持った方がいいと何度も言っていただろう? 」
「ああ、そうだな」
「前に一度見合いして断っただろう。それをよく思わなかった向こうがお前について歪曲した陰口を言っててな。まぁ、お前は《《俺に似て》》男前だろう? 弄んだとか、女遊びが激しいとか、家庭に収まる器じゃないとか……好き勝手言ってる。なまじ、お前は《《俺に似て》》女が放っておかないタイプだろう?」
功至は長くなりそうだと口を挟んだ。
「はいはい、それで?」
「《《今は》》お前個人がモテてる。だがこれから金を持つと、寄ってきた女はお前を好きなのか、金が好きなのか分からなくなる。疑いたくはないし、人生の伴侶を信用できないのでは心が休まらん。でだ、その点千幸ちゃんなら安心だろう? もともと育ちが良い」
性格も、何もかも良いぞ、と功至は心の中で付け加えた。
「ちょうど愛ちゃんも千幸ちゃんの事で悩んでいてな、聞くところによると大人しい子だそうじゃないか。千幸ちゃんに会社を継ぐ気が無い以上、いつまでも社内にいて結婚せずに年を取れば、女はお局やなんだと社内で煙たがられるんじゃないかと心配だと言ってらした。千幸ちゃんは公認会計士になりたいらしいじゃないか。お前とぴったりだということになったわけだ。顔見知りだし、良い縁だろう。はははははは」
功至は多華子が言ったことを思い出していた。
「サウナ……」
功至は一体どこで何の話をしてるんだよと思ったが、勇太郎が話すのを黙って聞いていた。
「お前には独立前に所帯を持った方がいいと何度も言っていただろう? 」
「ああ、そうだな」
「前に一度見合いして断っただろう。それをよく思わなかった向こうがお前について歪曲した陰口を言っててな。まぁ、お前は《《俺に似て》》男前だろう? 弄んだとか、女遊びが激しいとか、家庭に収まる器じゃないとか……好き勝手言ってる。なまじ、お前は《《俺に似て》》女が放っておかないタイプだろう?」
功至は長くなりそうだと口を挟んだ。
「はいはい、それで?」
「《《今は》》お前個人がモテてる。だがこれから金を持つと、寄ってきた女はお前を好きなのか、金が好きなのか分からなくなる。疑いたくはないし、人生の伴侶を信用できないのでは心が休まらん。でだ、その点千幸ちゃんなら安心だろう? もともと育ちが良い」
性格も、何もかも良いぞ、と功至は心の中で付け加えた。
「ちょうど愛ちゃんも千幸ちゃんの事で悩んでいてな、聞くところによると大人しい子だそうじゃないか。千幸ちゃんに会社を継ぐ気が無い以上、いつまでも社内にいて結婚せずに年を取れば、女はお局やなんだと社内で煙たがられるんじゃないかと心配だと言ってらした。千幸ちゃんは公認会計士になりたいらしいじゃないか。お前とぴったりだということになったわけだ。顔見知りだし、良い縁だろう。はははははは」
功至は多華子が言ったことを思い出していた。