ちょうどいいので結婚します
何とか気を引きたかったが、同時にこの部署に居心地が良くなるくらい馴染ませてやりたかった。
「今日、支社回ってくるけどお土産何がいい?」
はっきり言って、すぐそこに行くのにお土産も何もないが、千幸に話しかけるきっかけが欲しかった。当然、千幸は無反応で他の子が反応してくれた。
「&の秋限定のタルト」
「あ、&なら私はほうじ茶プリンがいいです!」
最寄りに&という人気洋菓子と老舗和菓子と高級お茶屋の入った店があるのだ。みんな口々に言う中、千幸は淡々と仕事をしていた。
「小宮山さんは何がいい?」
「……私にも、聞いて下さるのですか? でも、あそこは並ばないといけないのでは」
申し訳そうに言うもんだから
「や、俺は昼飯食べるの早いし、テイクアウトならそんなに並ばないよ。大丈夫」
「そうですが、では何でも構いません」
また遠慮したなと気づいた功至は自分から提案した。
「タルトとかどう? 秋限定だって。芋、栗、南瓜って言うんだっけ、女の子は好きだよね」
「あはは、やだ、『女の子』だなんて。小宮山さん、一柳さんより年上ですよ」
女の子だよ、あんなに可愛いんだから、女の子だ。功至は内心舌打ちした。
「女の子だよ。いいの。ね、どう?」
千幸は功至の言葉に少し表情を和らげてくれた。ほのかに白い肌がが桜色に染まっていた。
「その三つなら、栗が一番好きです」
「はい。オッケー。買ってくるね」
――何あれ、かっわいい。女の子って言ったの、恥ずかしかったのかな?そっか、俺年下なのに最初からタメ語で喋っちゃってた。向こうは敬語なのに。だから、引かれてんのなあ。ああ、しまったな。……栗、栗が好きか。覚えておこう。
功至はたったそれだけの情報を大切に胸にしまった。
「今日、支社回ってくるけどお土産何がいい?」
はっきり言って、すぐそこに行くのにお土産も何もないが、千幸に話しかけるきっかけが欲しかった。当然、千幸は無反応で他の子が反応してくれた。
「&の秋限定のタルト」
「あ、&なら私はほうじ茶プリンがいいです!」
最寄りに&という人気洋菓子と老舗和菓子と高級お茶屋の入った店があるのだ。みんな口々に言う中、千幸は淡々と仕事をしていた。
「小宮山さんは何がいい?」
「……私にも、聞いて下さるのですか? でも、あそこは並ばないといけないのでは」
申し訳そうに言うもんだから
「や、俺は昼飯食べるの早いし、テイクアウトならそんなに並ばないよ。大丈夫」
「そうですが、では何でも構いません」
また遠慮したなと気づいた功至は自分から提案した。
「タルトとかどう? 秋限定だって。芋、栗、南瓜って言うんだっけ、女の子は好きだよね」
「あはは、やだ、『女の子』だなんて。小宮山さん、一柳さんより年上ですよ」
女の子だよ、あんなに可愛いんだから、女の子だ。功至は内心舌打ちした。
「女の子だよ。いいの。ね、どう?」
千幸は功至の言葉に少し表情を和らげてくれた。ほのかに白い肌がが桜色に染まっていた。
「その三つなら、栗が一番好きです」
「はい。オッケー。買ってくるね」
――何あれ、かっわいい。女の子って言ったの、恥ずかしかったのかな?そっか、俺年下なのに最初からタメ語で喋っちゃってた。向こうは敬語なのに。だから、引かれてんのなあ。ああ、しまったな。……栗、栗が好きか。覚えておこう。
功至はたったそれだけの情報を大切に胸にしまった。