ちょうどいいので結婚します
千幸は、功至の様子に首を傾げた後、ベッドを見て割と卑猥な想像をした。寝室は一つ、ベッドも一つだ。ここは一番功至の匂いがする。羽布団の片方の裾が床に着きそうで、持ち上げた。動かすと香りが鼻腔に届いた。
「功至さんの香りがする」
思わず、布団に顔をうずめた。数秒後、バッと顔を上げた。
「な、何をやってるの、私ってば」
千幸は慌ててその空間から逃げるようにソファに戻った。パタパタと手で熱くなった顔に風を送った。布団の匂いを嗅ぐなんて。そんなことしなくても、功至さんに抱きついて、直接嗅げばいいのじゃない。と、功至が風呂から出てくるのを待ち遠しく思っていた。
自然と耳の意識が功至の方へ向かってしまい、気にしないように努めた。功至の声が聞こえた気がする。気のせいだろうか。
「今、誰かと喋ってた?」
「いいえ」
功至が風呂から出るとすぐに聞いてしまったが、気のせいだったらしい。功至は、ちらりと千幸に目を向けると
「ちょうどよかったね、そのシャツ」
と、千幸の着ている功至のパジャマのシャツに言及した。
「ちょうどいい? そうかな。大きくて、ワンピースみたいに」
「うん。だから、ちょうどいい。この前のシャツワンピースも可愛かったけど」
良一セレクトのシャツワンピースのことだ。千幸は良一の見立ては当たっていたのだと、笑ってしまった。
「もしかして、好きだった?」
「うん。まあ、何でも好き。千幸ちゃんが着てるなら」
「ふうん。じゃあ。これにパンツ履くか、レギンス履いてもいい?」
「だめ。絶対だめ。俺、あれ嫌い」
千幸は、なるほどと笑った。
「私が着てるならなんでもいいんじゃないのね」
功至はそれには聞こえないふりをした。
「功至さんの香りがする」
思わず、布団に顔をうずめた。数秒後、バッと顔を上げた。
「な、何をやってるの、私ってば」
千幸は慌ててその空間から逃げるようにソファに戻った。パタパタと手で熱くなった顔に風を送った。布団の匂いを嗅ぐなんて。そんなことしなくても、功至さんに抱きついて、直接嗅げばいいのじゃない。と、功至が風呂から出てくるのを待ち遠しく思っていた。
自然と耳の意識が功至の方へ向かってしまい、気にしないように努めた。功至の声が聞こえた気がする。気のせいだろうか。
「今、誰かと喋ってた?」
「いいえ」
功至が風呂から出るとすぐに聞いてしまったが、気のせいだったらしい。功至は、ちらりと千幸に目を向けると
「ちょうどよかったね、そのシャツ」
と、千幸の着ている功至のパジャマのシャツに言及した。
「ちょうどいい? そうかな。大きくて、ワンピースみたいに」
「うん。だから、ちょうどいい。この前のシャツワンピースも可愛かったけど」
良一セレクトのシャツワンピースのことだ。千幸は良一の見立ては当たっていたのだと、笑ってしまった。
「もしかして、好きだった?」
「うん。まあ、何でも好き。千幸ちゃんが着てるなら」
「ふうん。じゃあ。これにパンツ履くか、レギンス履いてもいい?」
「だめ。絶対だめ。俺、あれ嫌い」
千幸は、なるほどと笑った。
「私が着てるならなんでもいいんじゃないのね」
功至はそれには聞こえないふりをした。