ちょうどいいので結婚します
「美味しいモーニング楽しみにしてたのに……」

 目覚めると、太陽はすでにサンサンと昇っていた。

「ご、ごめん、千幸(ちゅき)ちゃん。俺、最後しつこかったよね!? 」
「んんっ。それは、その、私も良かったのだけれど。もごもごもご」
「何て?」

 千幸の語尾がもごもご言って聞き取れなかったので、功至は聞き直したが、千幸はもう一度言い直す気はないらしかった。

 二人は遅いランチに出かけた。

「そっか、でもモーニングはまた今度」

 千幸は、『また今度』が当たり前にあることが嬉しくて顔を緩ませた。功至は千幸が横にいるだけで感無量だった。しかも、機嫌のいい千幸とあれば、天下でも取った気持ちでいた。もう本人にも隠す気は無かった。

「そうそう。毎日、千幸(ちゅき)ちゃんのいる幸せ」
「モーニング、関係なくない?」
 と、千幸も功至に言いたいことをすぐ言えるようになって、それに功至がまた目を細めた。

「忙しくなるよ、千幸(ちゅき)ちゃん」
「私も、そっちの事務所に呼んでくれるの?」
「もちろん。でも、俺が無理言って辞めることになったから、千幸ちゃんは
早くて三月、てとこかな」
権力(父親)にモノを言わせる!!」
「……千幸ちゃん……」
「冗談よ。迷惑かけられないもの」
「……千幸ちゃん、結構面白い子だね」
「そう? 」

 余裕の千幸に、功至はぐいっと腰を引き寄せた。

「え、ちょ、何!?」
 千幸が体を強張らせるのを確認すると、腕を緩めた。
「やっぱ、近づくと緊張するんだ?」
 と、満足そうに笑った。千幸は真っ赤になって抗議したが、功至は声を出して笑った。
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