ちょうどいいので結婚します
「懐かしいわね、愛ちゃん。私たちも婚前旅行行ったのよね、熱海だったけど」
母親だった。
「そうだな。夏だったから、あの時は浮かれたなあ」
「千幸たちは真冬の北海道。寒いけど、二人だから暖かいでしょうね。楽しんでらっしゃいね」
「え、いや、」
「私たちも行ったわよ?」
「うぐぐ……」
千幸と顔を見合わせて、やったとばかりに笑いあった。千幸の両親が昔話に花を咲かせ、二人の世界に入ってしまったので、功至は声のトーンを落として千幸に言った。
「それにしても、ししゃもとか言い出すからどうしようかと思った」
「え、だって、ししゃも食べに行くんでしょう?」
「……まあ、はい。適度に乾いたものならたくさんあると思うよ」
「ね、楽しみ!」
何だか、ししゃもに負けた気分だが、あんな半乾きの魚に……例えホンモノだとしても、嫉妬なんてしないと、功至は気持ちを切り替えた。
「楽しみだね、他には何をしようか」
「え、やだ。功至さんたら、こんなとこで!」
千幸が真っ赤になって功至の腕をバシンと叩いた。
「いや、えー?」
千幸のこの感じにも功至は慣れつつあった。まあ、いいかと、後でどこへ行くかは計画するとしよう。功至はそう思った。
気付くと、功至の千幸がつまらないことで笑っているのを、両親は目を細めて見ていた。
「幸せにします、必ず」
功至はそう誓った。
母親だった。
「そうだな。夏だったから、あの時は浮かれたなあ」
「千幸たちは真冬の北海道。寒いけど、二人だから暖かいでしょうね。楽しんでらっしゃいね」
「え、いや、」
「私たちも行ったわよ?」
「うぐぐ……」
千幸と顔を見合わせて、やったとばかりに笑いあった。千幸の両親が昔話に花を咲かせ、二人の世界に入ってしまったので、功至は声のトーンを落として千幸に言った。
「それにしても、ししゃもとか言い出すからどうしようかと思った」
「え、だって、ししゃも食べに行くんでしょう?」
「……まあ、はい。適度に乾いたものならたくさんあると思うよ」
「ね、楽しみ!」
何だか、ししゃもに負けた気分だが、あんな半乾きの魚に……例えホンモノだとしても、嫉妬なんてしないと、功至は気持ちを切り替えた。
「楽しみだね、他には何をしようか」
「え、やだ。功至さんたら、こんなとこで!」
千幸が真っ赤になって功至の腕をバシンと叩いた。
「いや、えー?」
千幸のこの感じにも功至は慣れつつあった。まあ、いいかと、後でどこへ行くかは計画するとしよう。功至はそう思った。
気付くと、功至の千幸がつまらないことで笑っているのを、両親は目を細めて見ていた。
「幸せにします、必ず」
功至はそう誓った。