ちょうどいいので結婚します
「今日こそ、入籍日を決めようね」
 身体がくっついたまま功至の自宅へたどり着くと、功至はばぁんとカレンダーを叩いた。

「そうね。でも、功至さん候補日がありすぎて。前から聞こうと思ってたんだけど、何でこんなに多いの? 何の日? 」
「大安吉日は全部入れた。それと天気がいい日も」
「天気!?」
「そう。週間天気予報見て付け足した」
「付け足した……多いわけだ」
「だって、少しでもチャンスがあれば結婚したい、俺」
「どのみち結婚するじゃないの……」
「まあね」
「私の誕生日、功至さんの誕生日、いつにしようかしら」
「あー、だめだめ千幸の誕生日は一大イベントだから結婚記念日になるのはヤダ。誕生日イヴもだめ」
「誕生日イヴ……」

 結局なかなか決まりそうになかった。

「何でもない日に記念日つくるのもいいね」
「それいいね」

 とにかくなかなか決まりそうになかった。

 功至と千幸は愛一郎の抵抗(諸事情あって)まだ一緒に住んではいなかったが、ほぼ通い婚のように功至の家で過ごしていた。甘く過ごし過ぎて、なかなか何も進まないというデメリットがあった。

「そろそろ、ここらへんにして、また明日にしようか」
「うん」

 ずっと、指先だけを絡めて話していたが、目が合うとどちらからともなく唇を重ねてしまい。そのたび中断した。

「だって、可愛いんだもん」と、功至と千幸が同時に言った。
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