ちょうどいいので結婚します
番外編
蜜月
二人の愛の巣はとても静かだった。
不在ではない。千幸は自室に、功至はリビングにいた。
コトンとペンを置くと千幸ははぁ、と息を吐いた。何時だろう。そう思って顔を上げる。15時。
さっきまで静かだったリビングから忍ばせた足音が聞こえ、
「いいよ、功至さん休憩するから」そう言うと、ドアの前で立ち止った足音の主は引き返したようだった。足音は忍ばせないものに変わって、ふんふんとご機嫌な鼻歌が聞こえる。
千幸はふふっと笑うと、んーっと伸びをした。部屋から出ると功至はカフェオレボウルにたっぷりとコーヒーとミルクを注いでくれた。
「ごめんね、功至さん。せっかくのお休みなのに」
「いや、大丈夫。死ぬほど楽しい」
「何が?」
せっかくの休日に、千幸は勉強で引きこもっていた。今年の試験は見送るとしても勉強しなくていいほど甘くはなかった。必然的に功至は一人リビングで千幸を邪魔しないように息をひそめて過ごしていた。……それを、楽しいだなんてどういう事だろうか。と、千幸は随分近くに寄ってきている功至の顔を見上げた。
功至はヘラっと笑う。
「毎日千幸ちゃんが家にいる幸せ。毎日楽しくて仕方がないね。俺は。毎日イベント発生! みたいな!?」
「イベントって、毎日何もないじゃない。特に今日なんて」
「わかってないないなぁ、ちーは!」
功至はイベントとは何かを説明はしなかったが、顔が全てを語っていた。
不在ではない。千幸は自室に、功至はリビングにいた。
コトンとペンを置くと千幸ははぁ、と息を吐いた。何時だろう。そう思って顔を上げる。15時。
さっきまで静かだったリビングから忍ばせた足音が聞こえ、
「いいよ、功至さん休憩するから」そう言うと、ドアの前で立ち止った足音の主は引き返したようだった。足音は忍ばせないものに変わって、ふんふんとご機嫌な鼻歌が聞こえる。
千幸はふふっと笑うと、んーっと伸びをした。部屋から出ると功至はカフェオレボウルにたっぷりとコーヒーとミルクを注いでくれた。
「ごめんね、功至さん。せっかくのお休みなのに」
「いや、大丈夫。死ぬほど楽しい」
「何が?」
せっかくの休日に、千幸は勉強で引きこもっていた。今年の試験は見送るとしても勉強しなくていいほど甘くはなかった。必然的に功至は一人リビングで千幸を邪魔しないように息をひそめて過ごしていた。……それを、楽しいだなんてどういう事だろうか。と、千幸は随分近くに寄ってきている功至の顔を見上げた。
功至はヘラっと笑う。
「毎日千幸ちゃんが家にいる幸せ。毎日楽しくて仕方がないね。俺は。毎日イベント発生! みたいな!?」
「イベントって、毎日何もないじゃない。特に今日なんて」
「わかってないないなぁ、ちーは!」
功至はイベントとは何かを説明はしなかったが、顔が全てを語っていた。