ちょうどいいので結婚します
──千幸は、男性が苦手だった。男性というだけで、なぜか身構えてしまうのだ。
元々大人しい性格だが、相手が男性であるとそれに拍車がかかる。そんな様子であったため、今まで恋をしても片思いで終わっていた。時折、相手から言い寄られて付き合うこともあったが、うまくいかなかった。
今回は好きになった相手と想いが通じただけでなく、結婚までしたのだ。夢見心地で幸せで、パニックで、おかしくなるのは仕方がない事だった。
だが、もう功至の気持ちを疑う必要などないくらいに功至は千幸の前でだけ《変》だった。
初めて子猫を目の前にした人はだいたいこうなる。そんな態度だった。
千幸を見ると「うう」とか「うがぁ」とか言いながら心臓を押さえたり両手で顔を覆ったりするのだ。しばしば「天使!!」と叫んだりもする。本人いわくキュートアグレッションに悶えているらしい。
とにかく、千幸がどんな失敗をしても変な事を口走っても功至をは受け入れて笑ってくれる。いや、むしろ喜ばせてしまう。
だから千幸も功至といると自然に笑えるようになった。
「功至さん、変よ?」
「まあね。お前のせい」
「や、『お前』って呼び方は嫌だな。俺」
色々呼び方を変えて、自分で言ってる功至に千幸が笑った。
「ああ、可愛い。やっぱり笑った顔が一番可愛いね。あ、照れた顔も可愛いよ? あと、怒った顔も。寝起きのぼーっとした顔も、」
「功至さん、わかった、わかったから!」
「あはは、千幸ちゃん、今日も好きだよ」
照れる素振りもなく、功至は今日もそう言った。うまく言えないけど、千幸も時々功至に気持ちを伝えることにしている。
元々大人しい性格だが、相手が男性であるとそれに拍車がかかる。そんな様子であったため、今まで恋をしても片思いで終わっていた。時折、相手から言い寄られて付き合うこともあったが、うまくいかなかった。
今回は好きになった相手と想いが通じただけでなく、結婚までしたのだ。夢見心地で幸せで、パニックで、おかしくなるのは仕方がない事だった。
だが、もう功至の気持ちを疑う必要などないくらいに功至は千幸の前でだけ《変》だった。
初めて子猫を目の前にした人はだいたいこうなる。そんな態度だった。
千幸を見ると「うう」とか「うがぁ」とか言いながら心臓を押さえたり両手で顔を覆ったりするのだ。しばしば「天使!!」と叫んだりもする。本人いわくキュートアグレッションに悶えているらしい。
とにかく、千幸がどんな失敗をしても変な事を口走っても功至をは受け入れて笑ってくれる。いや、むしろ喜ばせてしまう。
だから千幸も功至といると自然に笑えるようになった。
「功至さん、変よ?」
「まあね。お前のせい」
「や、『お前』って呼び方は嫌だな。俺」
色々呼び方を変えて、自分で言ってる功至に千幸が笑った。
「ああ、可愛い。やっぱり笑った顔が一番可愛いね。あ、照れた顔も可愛いよ? あと、怒った顔も。寝起きのぼーっとした顔も、」
「功至さん、わかった、わかったから!」
「あはは、千幸ちゃん、今日も好きだよ」
照れる素振りもなく、功至は今日もそう言った。うまく言えないけど、千幸も時々功至に気持ちを伝えることにしている。