ちょうどいいので結婚します
「功至さんも飲むでしょう」
 千幸がすぐ横に来て功至に添う。
「うん。そうだな。何飲む? 」
「待って、おつまみから決めるね。えっと、まだ色々ストックあったかな? 功至さん何食べたい? 」
「えーっと、俺はつまみはほどほどに。飲む時はあんまり食えないんだよ」
「そっか、私も少しだけにしよう。運動もしてないし太りそ……。運動。や、違うの、そりゃちょっと、その、エッチなことも考えたけど」
「うんうん。飲み過ぎてつらくなければ、運動もしようね。今日も」

 可愛いなぁ。と、今回は口に出さずに心の中でだけ言うことに成功した。功至はなるべく千幸チョイスのつまみは多くとらないようにしていた。
「ちょっと痛風なりそうだしな」功至には健康で長生きする野望があった。

「千幸、野菜もたっぷり食べて。ね? 」
「うん。お野菜も好き」
 好きと言われた野菜に少しだけ嫉妬しながら冷蔵庫を開けた。
「ししゃもは? 」
「見ちゃったら食べたくなるなぁ。二尾だけっ!」

 千幸が両手を顔の前で合わせて(くっっっっそ)可愛い顔をしてくるので、功至は一旦しゃがみこんでの悶絶を終えると、ししゃもをいい火加減で焼いた。

「ちーちゃんほんとししゃも好きだね」
「うん、大好き」

 さっきの野菜の件は耐えれたが、ししゃもにはつい
「俺とどっちが好き? 」
 とメンヘラじみた質問をしてしまった。千幸がジョークだと受け取ってくれたのは幸いだった。
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