ちょうどいいので結婚します
せめて、自分の気持ちくらいは伝えたいし、許されるなら千幸が今、どういう心境なのか知りたいと思っていた。
もういいか。人前でも。結婚するんだし。功至は開き直った。席から立つと千幸のデスクがある方へ向かった。
「今日、お昼一緒に行かない? 小みや……」
「いいですね。今日の日替わり若鶏の黒酢餡ですって」
妹尾がすぐに返事をした。
「あ、いや」
皆で、ではなく、小宮山さんと二人でって付け加えるのが遅かった。
「あ、美味しそうですね。私も一緒に行っても構いませんか?」
「もちろんです、小宮山さん。珍しいですね」
まさかの千幸本人が妹尾さんに承諾を得てる。今さら二人でとは言えない雰囲気になってしまった。
しかも、千幸が黒酢餡かけが好きなことがわかって無理に他の店にも誘えなかった。
へえ、黒酢が好きなのかな?それとも若鶏かな?って、そうじゃなくて。功至はそれからも今度は夕食に誘おうと機会を伺ったが、なにぶん内勤の部署で、二人きりになることはなかった。しかも、ものすごく静かな部であるので千幸に声を掛けようものなら、全員が聞くことになるだろう。
自分は構わないが、千幸は……きっと嫌がるだろう。仕方なく、ランチ時にでも機会を伺うことにした。
ところが、ランチの席も千幸は一番遠い席を選んでしまった。届いた食事を丁寧に冷まして食べている。彩りに使われた黄色と赤のパプリカも好物であることがわかった。
もういいか。人前でも。結婚するんだし。功至は開き直った。席から立つと千幸のデスクがある方へ向かった。
「今日、お昼一緒に行かない? 小みや……」
「いいですね。今日の日替わり若鶏の黒酢餡ですって」
妹尾がすぐに返事をした。
「あ、いや」
皆で、ではなく、小宮山さんと二人でって付け加えるのが遅かった。
「あ、美味しそうですね。私も一緒に行っても構いませんか?」
「もちろんです、小宮山さん。珍しいですね」
まさかの千幸本人が妹尾さんに承諾を得てる。今さら二人でとは言えない雰囲気になってしまった。
しかも、千幸が黒酢餡かけが好きなことがわかって無理に他の店にも誘えなかった。
へえ、黒酢が好きなのかな?それとも若鶏かな?って、そうじゃなくて。功至はそれからも今度は夕食に誘おうと機会を伺ったが、なにぶん内勤の部署で、二人きりになることはなかった。しかも、ものすごく静かな部であるので千幸に声を掛けようものなら、全員が聞くことになるだろう。
自分は構わないが、千幸は……きっと嫌がるだろう。仕方なく、ランチ時にでも機会を伺うことにした。
ところが、ランチの席も千幸は一番遠い席を選んでしまった。届いた食事を丁寧に冷まして食べている。彩りに使われた黄色と赤のパプリカも好物であることがわかった。