ちょうどいいので結婚します
第3話 うまく出来ない二人
千幸は良一との関係を説明出来たことに満足していた。
多華子ことも、仲の良い友人の一人と言ってた。もちろん、恋人がいるのに自分と結婚を決めるような人ではないと信じてはいたが、思ったより気にしていたのだと、今の清々しい気分に、気がついたのだった。
功至は連絡先を聞けたことに満足し、握った手の小ささと柔らかさに感動していた。
二人は裏路地の喫茶店から目的地である部署まで一緒に歩いたが、各々が本人を前に物思いに耽っていた。
「おはようございます。って、二人一緒に来たのに会話もなしですか?」
「……え、あ、はは。ちょっと考え事してた。ごめん小宮山さん」
「いいえ、では」
千幸は、すぐに自分の席へと向かった。妹尾さんが声のトーンを下げて功至に言っていた。
「小宮山さんはともかく、一柳さんは少しくらい話しかけるとか出来ないんですか? 二人してもう。小宮山さん話しかけ辛いのはわかりますけど……一緒に来たのだし」
「そう見えたならごめん。会社に着くまでは喋ってたよ」
「ならいいんですけど。二人が喋ってるイメージあんまりないなあ」
功至は内心、自分たちが婚約を発表したらどれだけみんなを驚かせるのか、楽しみになった。
千幸は二人の会話が聞こえていたが、喋ってるイメージがないと言われるのも納得で、千幸はこの部署の中でも功至とは一番喋っていないだろう。いつも功至が気を使って話しかけてくれていた。せめてプライベートで会う時は、頑張って話せるようになりたいと決意を固めていた。
多華子ことも、仲の良い友人の一人と言ってた。もちろん、恋人がいるのに自分と結婚を決めるような人ではないと信じてはいたが、思ったより気にしていたのだと、今の清々しい気分に、気がついたのだった。
功至は連絡先を聞けたことに満足し、握った手の小ささと柔らかさに感動していた。
二人は裏路地の喫茶店から目的地である部署まで一緒に歩いたが、各々が本人を前に物思いに耽っていた。
「おはようございます。って、二人一緒に来たのに会話もなしですか?」
「……え、あ、はは。ちょっと考え事してた。ごめん小宮山さん」
「いいえ、では」
千幸は、すぐに自分の席へと向かった。妹尾さんが声のトーンを下げて功至に言っていた。
「小宮山さんはともかく、一柳さんは少しくらい話しかけるとか出来ないんですか? 二人してもう。小宮山さん話しかけ辛いのはわかりますけど……一緒に来たのだし」
「そう見えたならごめん。会社に着くまでは喋ってたよ」
「ならいいんですけど。二人が喋ってるイメージあんまりないなあ」
功至は内心、自分たちが婚約を発表したらどれだけみんなを驚かせるのか、楽しみになった。
千幸は二人の会話が聞こえていたが、喋ってるイメージがないと言われるのも納得で、千幸はこの部署の中でも功至とは一番喋っていないだろう。いつも功至が気を使って話しかけてくれていた。せめてプライベートで会う時は、頑張って話せるようになりたいと決意を固めていた。