ちょうどいいので結婚します
「え、どういう意味ですか?」
まるで、想像もしてなかっただろう千幸の顔と、ここへ来ての小さな好奇心に功至は今さら千幸にモテていることを自覚させたくはなかった。願わくば何も気付いてくれるなという思いでいた。
「小宮山さんのファンが多いってこと!」
「そうそう。今ならまだ婚約も公になってないし、社内の男性から選べますよー、小宮山さん。思いとどまるなら今のうち。どうします?」
功至は何て事を言うんだと妹尾さんの後頭部を睨んだが、千幸はくすくす笑って「そんなわけ、ないです」と言った。
直ぐにでも千幸を引き留めて、そんなわけというのは『モテている』ということに対してではなく、『思いとどまる』方にであるか確認したくなったが、衝動は理性によって抑えられた。
功至は今度こそ最後尾を歩きながら、婚約発表は早々にすべきで、自分は目下、千幸の恋人というポジションを目指すことにした。
先に結果を手に入れた恋は、過程が伴わない。一般的な男女が結婚までに辿る道筋を歩かなければならない。一般的な男女と功至と千幸が違うのは、結婚への確約があるところだ。そう考えれば気持ちは楽になるはずなのだが、功至は楽観視出来る状況ではなかった。
うまく行きすぎな気がしていた。幸せ過ぎてそう思うのだろうか。功至は部のみんなと談笑する千幸を眩しい気持ちで見ていた。
まるで、想像もしてなかっただろう千幸の顔と、ここへ来ての小さな好奇心に功至は今さら千幸にモテていることを自覚させたくはなかった。願わくば何も気付いてくれるなという思いでいた。
「小宮山さんのファンが多いってこと!」
「そうそう。今ならまだ婚約も公になってないし、社内の男性から選べますよー、小宮山さん。思いとどまるなら今のうち。どうします?」
功至は何て事を言うんだと妹尾さんの後頭部を睨んだが、千幸はくすくす笑って「そんなわけ、ないです」と言った。
直ぐにでも千幸を引き留めて、そんなわけというのは『モテている』ということに対してではなく、『思いとどまる』方にであるか確認したくなったが、衝動は理性によって抑えられた。
功至は今度こそ最後尾を歩きながら、婚約発表は早々にすべきで、自分は目下、千幸の恋人というポジションを目指すことにした。
先に結果を手に入れた恋は、過程が伴わない。一般的な男女が結婚までに辿る道筋を歩かなければならない。一般的な男女と功至と千幸が違うのは、結婚への確約があるところだ。そう考えれば気持ちは楽になるはずなのだが、功至は楽観視出来る状況ではなかった。
うまく行きすぎな気がしていた。幸せ過ぎてそう思うのだろうか。功至は部のみんなと談笑する千幸を眩しい気持ちで見ていた。