ちょうどいいので結婚します
 大体の日取りを決めると、あとは両家と式場の空いてる日で調整しようということになった。つまりは、大した進展のない時間だった。 

 ただ、こうしている間にも日は過ぎる、式場を実際に見て仮押さえしておくことを決めた。この日は引き続き見たい式場を決めることにした。 
「一息入れましょうか」
「あ、はい」
「飲み物、何がいいですか? コーヒー、紅茶各種、ココア、緑茶、番茶、ほうじ茶、ハーブティー各種ありますが」

 功至も千幸に負けず劣らず、千幸を家に招くのに迷走していた。あちこちに花は飾ったし、お茶は数種類買い込んだ。&(エスペルットゥ)のケーキは二種類のモンブランを買っていた。
「たくさんありますね。どれも美味しそう」
 千幸はテーブルに広げた茶葉の入った缶を一つ一つ手にとって悩んでいた。
「日持ちしますから、今日選ばなかったものはここへ来た時にまた飲んで下さい。&(エスペルットゥ)でモンブランを買ってきているのでそれに合うもの……」
 それに千幸はなぜか、俯いてしまった。功至はモンブランはもう飽きたのか、それともまたここへ来る気はないのかと不安になったが、千幸の心境はそうでなかったらしい。

「手土産、手土産って普通はスイーツですよね。なのに、私ったらししゃもだなんて。どうして思いつかなかったのかしら」

 顔から火を出すのかというくらい赤くなってしまった。
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