ちょうどいいので結婚します
千幸は、功至が自分の失言を慰めるために手をとってくれたのだと思っていた。いきなり飛躍するのではなく、手をつなぐところからゆっくり行こうと心理面でも千幸に歩幅を合わせてくれたのだと。
もう何度目かわからないほどに惚れ直していた。“婚約者”になる前の感情など大したことが無かったと思えるくらい気持ちはどんどん募っていった。だが、同時に年上なのに功至に助けられてばかりの自分を恥じ、何とかそろそろ本気で挽回したいと思っていた。
いつに間にか、日が暮れ始めていた。
「日が短くなりましたね」
「そうですね」
散歩が長引いてしまい、功至の部屋に帰ることにした。
「式場見学の予約をしたら、ゆっくり飲み始めましょうか」
「はい、準備は私が!」
「はは、元気だ。一緒にしましょう」
「……はい」
部屋に入ると、スケジュールに無理がないよう式場見学の予約を入れた。それが終わると夕食の準備をする。勝手のわからない千幸に功至が物の置き場所を一つ一つ説明してくれた。どの棚も、どの引き出しも勝手に開けていいと言われ、千幸は結婚する実感を得ていた。
「使いやすいキッチンですね」
「そうですか? じゃあ、一先ずここで一緒に住みますか?」
功至にごく自然にそう言われ千幸はまた自分が赤面するのを感じた。また、いかがわしい想像をしたと誤解されては困るので、功至に顔が見られないように俯いて熱が冷めるまでやり過ごした。
もう何度目かわからないほどに惚れ直していた。“婚約者”になる前の感情など大したことが無かったと思えるくらい気持ちはどんどん募っていった。だが、同時に年上なのに功至に助けられてばかりの自分を恥じ、何とかそろそろ本気で挽回したいと思っていた。
いつに間にか、日が暮れ始めていた。
「日が短くなりましたね」
「そうですね」
散歩が長引いてしまい、功至の部屋に帰ることにした。
「式場見学の予約をしたら、ゆっくり飲み始めましょうか」
「はい、準備は私が!」
「はは、元気だ。一緒にしましょう」
「……はい」
部屋に入ると、スケジュールに無理がないよう式場見学の予約を入れた。それが終わると夕食の準備をする。勝手のわからない千幸に功至が物の置き場所を一つ一つ説明してくれた。どの棚も、どの引き出しも勝手に開けていいと言われ、千幸は結婚する実感を得ていた。
「使いやすいキッチンですね」
「そうですか? じゃあ、一先ずここで一緒に住みますか?」
功至にごく自然にそう言われ千幸はまた自分が赤面するのを感じた。また、いかがわしい想像をしたと誤解されては困るので、功至に顔が見られないように俯いて熱が冷めるまでやり過ごした。