No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
「それでそもそも、どうしたんですか?今日は」
湯気がゆるくのぼる空間で、律さんに問いかけた。
「ん?どうしたって、お風呂でしちゃったことが?」
首を傾げて、そんなふうに問いかけ返す、確信犯。
「…や、まぁ、そういうこと、です…」
文末は、ごにょごにょとちいさくなった私を、ふふふ、と、おだやかに笑って見せた律さん。
「今日は、あなたが飲み会で遅くなるって言ってたから、早めに風呂に入ってあなたを迎えに行こうと思ってたんだけど、テレビ見てたら怖くなっちゃって」
「え?怖くなったって、なんの番組だったんですか?」
「ん?心霊番組」
「……、」
…え…、律さんそういうの苦手なんですか?
当たり前でしょう。オバケより怖いものなんかこの世にないもん。
少し、顔をしかめてそんなふうに話す律さんは、
「…可愛いい…」
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