No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
柔らかなベッドの中で、見つめ合う。

律さんの目の中に映っている私は、優しい目をしている。

律さんの中に映る自分を通して知る、自分自身。

その姿はなんだか誇らしい。

「…あ、シアワセそうな顔してる」

つぶやいた律さんは、私のおでこに自分のおでこを寄せた。

「負けず劣らず、律さんも、です」

「当たり前でしょう?」

今、このベッドのうえに散らばっている甘い言葉たち。

集めて、練って飴玉に出来たらどんなにいいだろう?

そうしたら、決して噛み砕いたりしないでずっとずっと、舌のうえで舐めて溶かしてゆっくり余韻に浸るのに。

そんな、ありもしないことを想像して、恥ずかしくなったり。

無数のシアワセが散らばるこの部屋を、ゆっくりとおひさまのオレンジが照らしてゆく。




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