No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
「散歩でもしませんか?」

穏やかな律さんの声がする。

あなたと朝焼けの散歩なんて、したことなかったから。

そんな提案は、嬉しい、楽しい、シアワセ。

私の奥深くまで、ゆっくり優しく染みてゆく。

さっきまで欲していたお水なんて、必要なくなるくらいに。

いつもいつだって。

私の渇きを癒やしてくれるのは、律さん、だけ。

イタイキオクを引きずっていても。

自分に自信がなくても。

ちいさな嫉妬や、誰かをよく思わない荒んだココロさえも。

いっしょですよ?オレ、も。

そんなふうに、たいしたことじゃないことかのように、私を包んでくれる。

たいした人間じゃなくても。

出来た人間じゃなくても。

そのままの私で居させてくれる、律さんの偉大さを思い知る。

人間なんてみんな、たいしたことないでしょう?

ね?

微笑んでくれる横顔は、私の、糧。






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