No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
「律さんのことなら、なんだって覚えてます」

大きくはない、ドラッグストアの片隅で今、こうして見つめあっているのは、律さんと、私だけ。

「…ほんとうは、この数日間働くあなたを陰から
見つめていて、牽制をかけなきゃと思って、いても立ってもいられなくて来ちゃったけどもう、どうでもいいや」

そんな風に言って、ふふふ。笑った律さん。

「…え…?牽制って、なにに…?」

「あなたってひとはもう…」

拳を額に当てていう、律さん。

でももう、心配無くなったからいいや。

店の中じゃなかったら、キス、するのに。

私の耳元に口元を近づけて囁いた律さん。

それだけでもう、他のことはなんにも考えられなくなる。



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