No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
だから、今回も律さんに切ってもらおうと思っていたのだけれど、どうにも目にかかる前髪が気になって、「ちょっとだけ」自分に言い聞かせて握ったハサミ。

案の定、出来上がったがたがた前髪。

その前髪を、丁寧に切り直してくれる律さん。

真剣な表情が、格好いい。

律さんが、腕まくりした腕を動かすたびに薫る、秋。

律さんと結婚できて、律さんと一緒に過ごすはじめての秋。

このカーディガンは、去年私が律さんにプレゼントしたもので、こっくりとした青が律さんに似合うだろうなぁと、私が選んだもの。

シーズンが終わった去年の冬。

「来年もその先も。あなたと過ごせますように」

クリーニングから帰ってきたカーディガンをやさしく撫でながら、丁寧にクローゼットにしまっていた律さんを、思い出す。






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